2009年11月5日木曜日




























終わってしまった展示のことだけど、松本陽子と野口里佳の光展について。

私自身、光というテーマにとても興味があったし、野口里佳さんの写真の
テイストにちょっとした親近感を覚えたので楽しみな展示だったのですが、
やっぱりとってもよかったです!


この展示の前に光と色をテーマにした講演会も聴講しました。
色彩と光について美術史的な面、科学的な面、さまざまな方面から
絵画を読み解くというような主旨の講演会だったのですが、いまいち
色彩学の授業というような括りから抜け出せてないような印象でした。


この講演でメモったこと

・松本陽子さんの絵はピンクと緑の絵が全体の80%を占めている。
 そのうちピンクは70%で緑が10%

・人間は必ず頭の中で図と地の関係を作り出して認識する。
 そして図と地は同時には認識できない。
 日本人は初めに地を見て、それにより全体を把握する傾向があり、
 西洋人は初めに図を見て、全体の流れを把握する傾向にある。

・色と形では最初に形が認識され、次に色を認識する。
 (その例として碁石は黒より白の方が膨張して見えるので、
  白が小さめに作られている。)

・フランス絵画の画家の社会的地位を獲得するために設立されたアカデミーでは
 合理的で知的な絵画を理想としたプッサンなどの素描派と精神や感覚に訴える
 印象を与える色彩の重要性を訴えたルーベンスなどの色彩派で色彩論争が行わ
 れてから、ダヴィッドやアングルなどのアカデミー派の新古典主義とドラクロ
 ワなどの独立派のロマン主義においても色彩とマチエールについての論争が続
 いた。この論争以降、絵画は言語的なものから感覚的・具体的になり、画家は
 色彩の見え方や、マチエールを探求した。印象派といわれる人々が光と色の関
 係を考え、絵画におとしこむようになった。

 松本陽子さんの絵画の場合、これまでの美術史での光を探求した画家たちの表
 層の部分だけを取りのぞいて絵にしたような印象を受けると言っていたのが
 とても印象的でした。


この展覧会は野口さんと松本さんの2人展で、野口さんは写真をメインとし、
松本さんはアクリルを用いた抽象絵画をメインとしています。

野口さんの作品はなんとなく自分に共通する部分があるように感じていて
実際に作品を見てもいくつかそう思いました。
太陽の連作の部屋は真っ黒になっていて、作品だけライトが当たって浮かびあ
がる演出がすてきだなーと思いました。

「白い紙」という作品も見せ方がキレイで、写真の展示方法もよかったです!
白い紙よりも白い写真が撮りたくなったからといってすぐに雪の降る場所へ
写真を撮りに行ってしまう行動力とか本能にどん欲なところは見習わなきゃ
って思いました。

松本さんもそうだったけれど絵を見て描きたいという画家の強い衝動みたいな
ものを感じました。松本さんの絵は大きなものが多いのですが、ピンクの絵は
特にどんなに大きなサイズでも一日ですべて描き切ると決めていて、それが
ライフワークになっているそうです。


松本さんも野口さんも年代や作風は全然違っているけれど、
2人の光に対する考え方やアプローチの仕方は同じではないけれど
本質的に光を捉えようとしている姿は共通しているように思えました。
すごくいい展示でついついパンフレットも買ってしまいました◎

1 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

すっごい展示の仕方良かったよね。
ぼりゅーむもあってすてきだった。

野口さんの写真が
ハロゲンライトだっけ??
ゆらゆらして浮いているようにみえる
太陽の写真がほんとによかったー!!

光をテーマにしたシンポジウムも
光というものにたいして
いろんな切口があるんだな…て勉強になった◎